2002/04/27
 野地板 〔ノジイタ〕
 
  
『屋根葺き材の下に設けられる下地の板』
ある現場にて打ち合わせをしている時に、屋根の打ち合わせの番になり、さそっく屋根の納まりの話になりました。
その時に、その現場の監督さんが 『やじいた・やじいた』 と言うので何の事かと思い聞き直したところ、屋根屋のくせに解からないのかとどなられました。
長い間屋根屋をやっているのに、まだまだ知らない用語があるものだ・・・。
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『野地板〔ノジイタ〕ではないのですか?』と聞くわけにもいかなかった。
今ごろはその監督さんはどうなさっているのでしょうか。
野地板の定義は『建物の頂部を固定して、屋根の剛性を高めて屋根の荷重や台風、積雪等の外力を梁から柱に伝え建物を安定させる重要な建築部材の一つ』です。
昔の木造つくりの場合は、杉材の90oの幅で長さが1820oのザラ板を455oピッチの垂木に固定したり、コンクリートつくりの場合は木レンガを455oピッチにいれたり、また鉄骨構造の場合は木毛セメント板を貼ったりして屋根工事にすすみました。
今は、文明の進歩により合板や硬質セメント板、発泡セメント板などの野地板材があり、コンクリート造りの場合は木レンガを使わず、プラグなどのアンカーを使用して固定する技術ができました。
建築工事において仕上げの仕事と違い野地板貼りは屋根工事の下に隠れてしまう作業のひとつです。
色々な国の建築現場を見させていただいたところ、日本と違う野地板の作りをしています。
垂木の上に野地下地を隙間をあけて貼る屋根葺き工法をしています。
お尋ねしたところ、屋根裏の換気を目的にしており、日本と違う建築造りだと感じました。
まわりを石・コンクリートでがっしリ造り、屋根面だけを別に木造にて作るために、野地板を剛性体として考えないことと、そして屋根勾配が急なために野地板の隙間を梯子足場として利用するための合理的な工法です。
 
 2002/04/21
 蓮根の葉
 
  
レンコンを好物の一つとしている。
レンコン〔蓮根〕と書く為、食べている白く穴のあいた何時食にする部分が根とばかり思っていました。たまたま蓮根畑の横を通りかかったので、畑の作業をしている人から色々な話を聞いて大きな勘違いに気がつきました。
蓮根の根は穴のあいた部分が茎にあたり、茎と茎の間のつなぎ部分に髭の様に生えている物が根にあたるそうです。根が短いので土の養分を取りにくいので手がかかるそうです。

レンコンの表面に硫化鉄がつくと白くならず、黒いしみがついてしまい値が下がる、そのために有機物をいれてじわじわ土を変える作業が必要になる。また、土をやわらかくするために大豆などをいれ、味のいい物、なおかつ安全なものを消費者に提供する義務があると言ってました。
その他 『レンコン田に色々なものを混ぜ合わせて形にする』 『生ゴミや紙を燃やして赤土に混ぜて黒土に変えた』『もみ、米がらを入れて田を作る』 など大きく葉を広げて、赤や白の大輪花を咲かせている姿を見ているかぎりでは、このような労力など考えもしませんでした。
建築工事においても、仕上げ業者の仕事は仕上げ面を見せることができる。
しかし、仕上げの過程に色々な業種の方々の前作業があって、その積み重ねを歩んで仕上げ作業に入り、建物が完成していくことになる。
ほとんどの人はその裏方の作業、苦労はわからないで、完成された部分しか目を向けないのではないだろうか。
ただ,八百屋さんやスーパーの店先に並んでいる白いレンコンを見ただけでは、水田に浸かりながら、目に見えない色々な苦労、努力をしていることなど想像がつかないのではないでしょうか。
美味しいレンコン作りをすることと、各業者の方々の建築作業は、似ているところがあるような気がします。
 
 2002/04/15
 日本の原風景の一つ 茅葺き民家
 
 
「全国に、少なくとも3万4000戸の茅葺き屋根の民家が残っている。」と農水省外郭団体の調査でわかった。初めての全国調査は、昨年八月から九月にかけて3226市町村にアンケート方式で実施し、回答を得た。
ススキやヨシ、ワラなどの植物素材を使ったものだけでなく、茅葺きに金属などをかぶせたものも対象としている。
私共も二十年以上前に、福島県・新潟県・千葉県などにおいて茅葺き屋根の改修工事を手がけさせていただきました。
是非紹介させていただこうと、古い施工アルバムを探しましたが、施工の途中の写真が見当たらないので残念ですが、もう少し時間を頂いて見つけ次第にと思います。
初めて古い茅葺き屋根に登った瞬間、足がズッボと膝あたりまで茅の中へ入りこんでしまい、とても驚きました。 そして、生暖かい感触が伝わってきました。
なるほど、これが自然素材を利用した断熱効果のある屋根材だなーと思いました。
科学の進んだ時代になり、石油製品によって断熱材に加工することが可能になりました。しかし、 茅葺きに匹敵する製品はないのではないでしょうか。 「夏場は茅の厚みによる断熱効果、冬場は家の中の熱気を屋根裏に蓄える蓄熱効果」があると説明を受けました。
屋根裏の梁や竹などで組んだ小屋組みは、数十年の歴史を感じさせるように、ススによって黒々として鈍い光沢を放っていました。
金属板葺きにて改修する下地を作る場合は、丸棒を錨状のモノに加工して茅の中へ打ち込んだり、番線を小屋組みまで突き刺して縛り付けるなど色々な工法があります。
最近は茅葺き改修の仕事をあまりしておりませんが、 明治時代の貴重な建造物が、姿を消さないよう保存させる為の仕事があれば屋根屋として役立ちたい。


北欧地域やネザーランドを旅していますと、日本とは趣が全く違う茅葺き屋根の建物にめぐりあえます。
やはり、北欧の厳しい寒さを凌ぐために、茅葺き屋根による断熱効果を考えた家作りをしているのでしょう。
屋根裏部屋部分の取り合い納めはとてもシャープに仕上がっているなーと感心しました。
 
 2002/04/07
 ワイルドフラワーガーデン Bluebonnet
 
 
四月二十日、名古屋港・新名古屋発電所前にブルーボネットがオープンします。
昨年秋よりこのフラワーガーデン内のサニールーム屋根工事を手がけさせていただきました。
今年の春はとても駆け足でやってきて、すばやく、やわらかい春の色を拡げました 。

ガーデン名にもなっているワイルドフラワーの里は花花が春と秋に一面に咲き誇る見応えのあるエリア、ひとつひとつの可憐な花々のハーモニーが楽しめます。
ダレル・モリソン氏にテキサスと日本の「友好の庭」というテーマで設計を依頼して出来あがったガーデン。
両国固有の植物を使い、アラモ砦のイメージある建物をアクセントにしております。
サニールームはガラス越しに庭全体を見渡せるように設計されています。
 
 2002/04/01
 環境保全の視点から
 
 
今年は地球温暖化防止をめざした京都議定書が発行される。環境保全の視点から生活スタイルを見直すことが、これまで以上に求められる。
太陽光の光と熱を利用した建物が増えている。太陽光発電の補助金制度1994年度には1千件にも及ばなかったが、1997年度5600件、2000年には約2万件に達した.。〔新エネルギー財団〕
自分の建物へ最初の補助金制度導入時に3kwのシステムを取りつけてみました。当時は太陽光発電システムが600万円を超えて補助金は280万円と記憶している。発電量から算出した金額から考えると、到底元は取れない金額であったが時代の流れと研究材料として清水の舞台から飛び降りた。



「南西向きで、勾配30°そしてモジユールの裏面温度が高くなると発電効率が下がる為に裏面の通気性をもたせる、という条件が整えば一番発電効率が良い」と言う電気メーカーの方のアドバイスを元にこの条件通りに屋根の改造をして太陽光モジュールを設置した。
曇天・雨天は全く発電しない。夏場の気温が高すぎるとモジュール裏面温度が高くなり発電力も低下する、むしろ今頃から梅雨までの条件が 最高に発電する。
電力会社から毎月届く買電気伝票から計算すると、設置費用の元を取るには当時の金額では50
数年かかる。
現在は当時から比較すると、補助金も安くなったが太陽光発電モジュールを設置する価格も初期の約1/3になり、買い易い価格で導入する例が増え始めている。
太陽光など自然の力を採り入れた建物は今後も増え続くと思うが、システム通りの発電量を得る為に発電池の種類によって色々な特長・条件がある事を良く認識して設置しなければ発電効率を高める事は出来ない。
ただ、屋根に載せれば発電するものでは無い事と、屋根という機能を損なわないことが重要である。

屋根屋として今後とも、施主の方がせっかく大金をだして自然の恵みを受けるのだから、少しでも発電効率の良い設置方法のアドバイスを続けたいと思います。