スロヴァキアへ
 
 

 ポーランドには山などは存在、平坦な土地となだらかな丘が連なる緑の豊かな国だった。クラフクは東欧の交通の分岐点的な都市でもあり、ハンガリー・オーストリア・チェコ・ドイツの各都市へのアクセスがし易い。どこへ抜けてドイツのフランクフルトへ戻るか迷った。ルートはわずか50キロ足らずで国境を越えることの出来るスロヴァキヤア通過してプラハに向かう事にした。 川沿いにヴァヴェル城を左手後ろに見ながら城下町を後にする。橋を渡ると彼方に山並みが見えて来た、今まで見てきた風景とまったく様相が違ってきたので、ポーランドにも山があったのだと改めて考え直した。スキー場やロッジなどのリゾート施設も国道の標識に出るようになってきた。緑豊かな国道がスロヴァキアのザコパネ国境へと続く、今まで走ったポーランドの道を回想してみると、秋の紅葉時には想像もつかないほどの黄金の色に染まる別の世界を見ることができるのではないかと思う。またチャンスがあったら木々が黄金に染まる季節に訪れてみたい。

 

思ったほどに国境を通過する車両が少なく、この道が本当に国境に続くのかと思う位に寂しい所だった(写真:上段左)。しかし、結婚式に教会へ向かう家族にすれ違ったりすることが出来たり(写真:上段中)、金属屋根材を加工している工場を見ることもできた(写真:上段右)。国境は国民にとって、一つの行き止まり的存在の様だ。自由に行き交うことが出来ないのだから。
パスポートを提示してそのままスムーズに入国と思いきや、車のドキュメントを出せと言われたのには驚いた。提示してすぐにチェックをされて入国を許された。
寂れた国境(写真:下段左)だったので両替所もスロヴァキア内には無く、徒歩で再び後戻りして両替をして、いざ出発。数キロ走行してマーケットを見つけて早速買い物。ポーランドよりもさらに物価が安いのに驚いた、ミネラルウオーターの2リッターボトルがわずか65円である。各社のブランドがあり、これからの旅行を考えて多少の価格の違いがあったけれども、3社別々の物を購入した。 マーケットの駐車場で、あまり見かけない人種の為か、近所の子供達(写真:下段右)に取り囲まれて、色々話しかけられたが、言葉が通じないので何を話しかけられたのか分からない、持参したポケットの小銭、穴明き5円玉の出番である。穴の開いているコインに彼らは興味を持ち、さらに質問攻めにあった、人なつこい国民なのか?日本(ヤーパン)から来たということは理解してもらったようだ。

 

ドリニークリンという街で屋根付き橋が目に入り、自然に足が止まってしまった。その日はこの街に宿泊する事にした。しかし、人生で久ぶりに楽しく愉快な夜を過ごすことになるとは想像もつかなかった。

 
ドリニークリンという街に宿泊、屋根つき橋が目に入り今夜はここと自然に足が止まってしまった。しかし、人生で久ぶりに楽しく愉快な夜を過ごすことになるとは想像もつかなかった。
チェックインしてすぐにホテルのレストランへ食事に入った。しかし、ビールと酒しかないとのことである。日の長い夕暮れに、きれいな川と山そして屋根のある橋の景色見て感激をしても、空腹のまま寝るわけもいかず、持参した非常食のサキイカ・海苔煎餅・焼き海苔・缶詰のヤキトリ・秋刀魚・さば・イカのしおから、ザーサイをつまみにビールを飲み始めた・・・。

ビールは最初の一杯を一気に飲む癖がある。迷わず「ノッホ アインマル ビッテ」とお変わりを注文した。ほぼ満杯のビヤ−レストランで注目を浴びることになってしまったらしい。地元人々のコミュニケーションの場にいきなり見知らぬ顔、どこの国から迷い込んだ人間?サキイカやイカの塩辛、ザーサイなど変な臭いの物を口にする人種?などと思われたのかもしれない。

すぐ後ろに座っている青年達の一人が興味深そうに覗き込んできた、すかさず「ビッテ」とサキイカの辛子風味を勧めたが、誰も遠慮して口にしようとしないので、もう一度勧めてみた。とても恐々に口に運んだ様子を他の仲間がジーッと見つめている、毒でも口にして大丈夫?という表情だった。
口にした青年が「グート!!」と言った。すると他の青年も手を出し始めた、このきっかけが宴会へと入っていくことになってしまった。秋刀魚の缶詰は結構評判が良く、うまいといった表情である。御箸の使い方を講義(?)したりしているうちにすぐ横の席の人々も仲間に入ってきた。お礼にとビールをご馳走になり、別のテーブルからはウォッカのストレートを一気飲みしろと勧められた。

部屋に帰り寝酒用の焼酎とシーバスリーガルをテーブルの上に乗せて、先程のウォッカグラスにて勧める、酒は湯や水で割らずにストレートで飲むものと改めて教えられた。とっても寒い冬に、芯から冷えた体を温めるには度数の高いアルコールしかないと言っていた。清水港の森の石松的な雰囲気で短い夏の夜はふけていきます。
焼き海苔は黒い紙を食べるのかといった感じで、誰もが恐々と口にする。イカのしおからはこんな臭くて、塩辛いものを日本人は食べているのかと思いながら口にする。瞬間、表情がおいしい顔に変わっていく。大自然の山々に囲まれ、毎日を平凡に暮らしている彼等にとっても忘れることの出来ない夜だったと思う。カメラマン・編集者・きこり・工場で働く人々など様々な職業の人々である、編集者のミセスさんからスロヴァキアを紹介して欲しいと、スロヴァキアの写真集(写真:下段右)を2冊も頂いてしまった。
思わぬ深酒をしてしまった・・・。

 

翌朝は案の定、二日酔いである、熱い風呂につかり酒気を抜いたが抜けきらず、小雨の中の出発となった。小雨に煙る屋根付き橋を対岸に渡ってみた、ひと昔前の経済時代の面影が残る住宅が立ち並んでいる、昨夜はこのあたりの人々と一緒に酒を飲んだに違いないと思った。ちなみにホテル代はツインベッドで一泊1800円、中ジョッキのビールは73円であった。ショートカットをして国道へ出ると道は思ったより広い。運転マナーもとっても良く、無理して抜き去る様な運転をする人はほとんど無く、一つ国境を越えるとこんなに運転マナーが違うのかと驚いた。
スロヴァキアは山と川、やはり緑豊かな国である。この山々が遠くオーストリア・スイス・ドイツ・イタリー・フランスと続くヨーロッパアルプスの始めなのか、この国の観光名所はあまり日本には伝わらないけれども、スイス・フランス以上に美しい山々があるのかもしれない、もう一度訪れてみたい国である。
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国道沿い前方緑の丘の上に古城が点在する風景を目にする。街に古城と教会があって街をつくっている。トレンチーン・プラザの真中に写真のような噴水があった。口から噴出した水がピョンピョンと地面を跳ねて行く、とっても変わったアイデアである。その噴水を取り囲むようにオープンカフェが店を開いている。
この街から数キロでチェコの国境である。アウトバーンを通って迂回せずに山越えルートのショートカットをしてプラハに向かう・・・。

 


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